農業、食品
日本の人たちは、オーストラリアがクリーンでグリーンな国で、そこでできる食物は安全で質が良いと考えています。これは牛肉だけには限りません。
東京で国際ビジネスコンサルタントの仕事をしていた際、顧客の外国企業が扱っていた物には牛肉、クレイフィッシュ(日本ではロブスターとして出されていました)、たまねぎ、ワイン、チーズ、からすみ(ぼらの卵を塩漬けにし、乾燥させた物、長崎名産)ドライ・フルーツ、チョコレート、オリーブオイル、ミューズリバーなどがあります。
農産物、加工食品など、日本市場に紹介できる物は色々あると思われます。たとえば、マンゴです。クィーンズランドでできるマンゴをはじめて食べて依頼、どうしてこんなにおいしくて安いマンゴを日本で売れないのかと疑問に思い続けて来ました。高級品として、少量のマンゴは日本へ送られているようですが、たくさんのマンゴが安価で日本で食べられるようにはできないものでしょうか。
日本の市場に参入するのは、たやすいことではありません。日本の市場を開拓する企業に取って頭の痛いことは、日本の込み入った流通システムを理解したり、言葉の障壁やその他の問題を乗り越えて両者の利益となる長い付き合いをどのようにすれば構築できるかということです。ただ、その障壁を越えて、信頼関係ができれば、もっとも信用のおける長いビジネス関係が生まれるのです。
ブリスベンにあるギリシャ系の同族会社が日本の三大珍味のひとつであるからすみに目をつけ、その生産輸出をするため、私どもの会社にアプローチしたのは、20年以上も前のことになります。その長い付き合いの中で、ある日本の大手の製粉会社がレトルト食品として、からすみスパゲッティーを作ることになりました。この会社は世界中の36社のからすみを調た結果、このブリスベンの会社の物を選ぶことになり、そして、からすみの粉末はフランスの会社を選びました。1年近く、私は、パリにある工場の視察も含め、ブリスベンの会社、パリの会社と日本企業の間のすべての調整に取り組みました。ようやく、製品はできあがりましたが、残念ながら、市場の受けは良くありませんでしたが。日本の会社は毎年新商品を市場に出すために、多大な費用と労力を費やします。
私がゴールド・コーストに住んでいた際、日本向けのオーストラリアのミートパイを作った日本企業とオーストラリア企業の合弁会社がありましたが、3年(噂によると)もかけたあげく、ヒット商品にはならなかったようです。
オーストラリアの質の良い原料と日本のノウハウや技術を組み合わせて、どちらの国でも人気のある製品を生み出すことは、可能であると考えています。